2021.6.14 新着記事「【正しい家計管理やってみた④】1年の予算を組もう!わが家の2021年度予算編成作業を公開!」を掲載しました

【要注意】団信の上乗せについて:保障条件を理解しないと後悔するかもという話

住宅ローンを検討する際、団体信用生命保険をどうするか悩まれる方は多いのではないでしょうか。

通常の団体信用生命保険にして金利負担を抑えるか,金利負担をしてでも「がん団信」や「全疾病団信」のような保障範囲が広いものにするか,非常に悩ましい点だと思います。

万が一に備えて保障範囲は広くしたいけど、金利が上がると負担が増えるし・・と私も非常に悩みました

だい
保障範囲と金利負担のバランスか悩みどころですよね

最近ではネット銀行を中心に地方銀行などでも様々な団体信用生命保険が取り扱われており,ネット銀行などでは全疾病団信も上乗せ金利なしで提供するところもあり非常に人気のようです。

ですがこの上乗せ団信、保障範囲をよく確認してみると商品によっては予想以上に適用条件が厳しいことに気がつきます。

無料のものなら「ないよりあった方がまし」と言えますが,金利が上がるとなるとそうも言っていられませんよね。

この記事では,私が自身の団信を検討した際に調べたことをもとに,団信の検討時に注意して確認すべき保障範囲等を見ていきたいと思います。

・住宅ローンを検討している人
・上乗せ団信にするべきか悩んでいる人
・どこに注意して団信を選べばいいか知りたい人

読んでいただけると上乗せ団信が「金利負担に見合った商品なのかどうか」を検討するためのポイントを明確にすることができます。

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団体信用生命保険とは

団体信用生命保険はローン契約者が死亡や高度障害状態になりローンの支払ができなくなった際に保険金によってローンの残債が支払われるという保険です。

だい
略して「団信」と言われています。

通常の団信はローン契約者が死亡・高度障害状態に該当したときに,住宅ローンの残債が保険金で支払われ,ローン返済が必要なくなります。

簡単にいうと,視力や言語機能を失った状態や,寝たきり,手足の2本以上が麻痺や切断等で機能を失ってしまった状態です。
住宅金融支援機構「フラット35」では以下のように定められています。
フラット35webページ 債務弁済される場合、債務弁済されない場合

通常の団信は追加の金利負担は必要ありません(適用金利の中に含まれています)。

がん団信をはじめとする上乗せ団信とは?

これらは通常の団信にプラスして以下の状態になるとローン残債が0になるものです。

  • がんと診断された場合(がん団信)
  • 所定の疾病にり患して,一定の状態になった場合(特定疾病団信(3,7,8,11大疾病など))
  • 病気,けが理由を問わず,一定の状態になった場合(全疾病)

死亡,高度障害に限らず,病気になってしまって収入が減少し,ローンの支払が難しくなるといった事態を想定した保険商品です。

これらの商品は保障範囲が広い分,追加の金利負担が必要なものがあります。

多くの商品がだいたい0.2~0.3%程度の金利上乗せで利用できるようになります。

実際の金利試算はこちら

こんにちは,だいです。 住宅ローンを検討する際の悩みの種のひとつが「団体信用生命保険をどうするか」ということです。 死亡,高度障害になると残債が0になる通常の団信金利上乗せ(上乗せなしの商品もあり)でがん確定診断でも残債が0になる[…]

がん団信計算アイキャッチ

最近はネット銀行を中心に,がん団信は上乗せ金利不要というところがあったり,何と全疾病団信が上乗せ金利0で利用できるというネット銀行まで現れ始めました。

注意!上乗せ団信は条件をよく確認しよう!

上乗せ金利0でがん団信や全疾病団信がつけられるなんてすごい!これなら安心だ!と思うかもしれませんが,加入を検討する際は慎重に条件を確認していただきたいと思います。

特に特定疾病団信や全疾病団信はよく条件を確認していただきたいです。

商品によって異なりますが特定疾病団信や全疾病団信でローン残債が0になる条件はだいたいが以下のいずれかに当てはまると思います。

  • 確定診断→がんはこの条件のものが多い ※ただし一部のものは要注意
  • 手術をうける,60日以上の労働制限→心筋梗塞,脳卒中はこのパターンが多いです。一部の商品では入院すると残債0というものもありました。
  • 入院や就業不能状態が180日(1年)→生活習慣病(高血圧性疾患,糖尿病など)はこの条件が多いです。

例えば3大疾病団信という商品があったとしたら,

・がんは確定診断
・心筋梗塞と脳卒中は手術を受ける又は60日以上の労働制限

で残債が0になりますよ,であったり

これが7大疾病になると

・がんは確定診断
・心筋梗塞と脳卒中は手術を受ける又は60日以上の労働制限
・生活習慣病は180日以上入院した場合

で残債が0になりますよ,という風な感じですね。

上乗せ団信を検討されている方は,団信に広範囲の保障を求める方が多いと思いますので,ちゃんと自分のイメージと同じ範囲が保障されるのか,をよく確認していく必要があります。

(保障範囲は通常の団信程度で必要十分,上乗せ部分は無料ならおまけ程度であってもいいかなという方はあまり気にする必要はありません)

この条件で私が気になった部分をピックアップして,説明していきたいと思います。

入院180日以上:180日以上入院する可能性は?

簡単に言うと、認められている疾病の治療のためにした入院が180日を超えた場合です。
(最初の入院は30日以上でないといけない、など細かいルールがある商品もあるので注意してください)

これは必ずしも連続して180日間連続で入院していないといけないわけではありません。

例えば心疾患で入院し,退院したのち一定期間が経過する前に同じ病気で再入院した場合は,通算して日数をカウントしますよ,などといった感じです。

このカウントの仕方も商品によって異なる場合があるので確認をしてください。

近年、入院期間が短くなっているという話は聞いたことがないでしょうか。

下の表は厚生労働省が3年に1度実施している患者調査のデータで平成29年のものから抜粋させてもらったものです。傷病・年齢別の平均在院日数を示したものです。

引用元:厚生労働省 平成29年患者調査(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/dl/03.pdf)より抜粋

この調査によると,ローンの支払をしているであろう35歳~64歳の平均在院日数は「21.9日」です。

精神系の疾病の在院日数が他の疾病に比べて長いので,これらが平均在院日数を押し上げていると思われます。したがって,その他の疾病の平均在院日数はもう少し短いはずです。

だい
180日には遠く及ばないですね。。。
  • 180日間入院する可能性が低いので,追加の金利負担をしてまで加入しなくていい
  • 確率的にはとても低いが,万が一なったときのリスクが非常に高いから,金利負担があっても加入しよう

どちらが正解,というものはなく,どちらを選ぶにしても「納得して選ぶ」ことが大切と思いますので,個々人のリスクに対する考え方に応じて,よく検討していただきたいです。

 就業不能状態12ヶ月はかなり厳しい

「就業不能状態」は団信に限らず、就業不能補償保険などでも聞かれるワードですが、問題はこれがどういう状態を指すかです。

勘違いされやすいのですが、一般的に就業不能状態というのは「働きたいけど働けない(就職先がない)」ではなくて「そもそも働く能力を喪失している」という状態です。

この状態の定義は、金融機関によって様々ですが,

「就業不能状態とは被保険者本人の経験・能力に応じたいかなる業務にもまったく従事できない状態をいいます」

というような定義をしているところもあります。

要するに全く働けない状態,ということですね。。

ちなみに心筋梗塞や脳卒中の条件として出てくる「労働の制限」は簡単にいうと家事や事務等の座業以外が制限される状態,のようです。

皆さん、これを見るとだいぶ厳しいなという印象を受けませんか?

とても極端な例ですが、自宅で内職をしていくらかでも収入を得る能力があるのであれば、就業不能状態とは認められないという可能性も考えられます。

この状態が1年継続しないと住宅ローンがチャラにならない、となると追加金利を負担してまで必要かを考えてしまいます。

ちなみに厳密に就業不能状態になる方がどの程度いるか,というデータとは違いますが,協会けんぽが傷病手当金の受給状況調査をしています。

公的医療保険の被保険者が病気やけがにより業務に就くことが出来ない場合に、受け取ることのできる手当のこと(国民健康保険に傷病手当金はありません)。
病気やけがで仕事ができない状態が連続した3日間を含む4日以上継続した場合に支給されます。

大まかに,仕事ができない状態が長く続いた人がどの程度いたかという把握には使えそうな調査だと思います。

その調査では,令和元年度の協会けんぽの被保険者全体に対する傷病手当の受給者の割合は,

  • 30~34歳 0.408%
  • 35~39歳 0.384%
  • 40~44歳 0.375%
  • 45~49歳 0.402%
  • 50~54歳 0.492%
  • 55~59歳 0.589%
  • 60~65歳 0.678%

(参照:令和元年度 全国健康保険協会管掌健康保険 現金給付受給者状況調査報告)

でした。だいたい各年代で1000人に5人前後の人が4日以上就業できずに傷病手当金を受給した,ということですね。

このうち,残債0の除外条件である精神疾患により傷病手当金が支給されている人が約30%ということなので,残りの70%が団信の保障対象になりうる疾病を原因としている,ということになります。

さらに365日(=12か月以上)にわたって傷病手当金を受給している人は約13.6%ということなので,

0.005 ×0.7× 0.13 = 0.000455

で0.0455%ということになります。10000人に4.55人です。

「就業不能状態12か月以上」を正確に表す数値ではありませんし,長期受給者には精神疾患の方が多いかもしれないので,もう少し確率は下がるのかもしれませんが,だいたいの感触としてこのくらいという目安にはなるかと思います。

要注意!がん(心筋梗塞や脳卒中も)の条件について

・がんは確定診断

・心筋梗塞と脳卒中は手術を受ける又は60日以上の労働制限

という条件が多いというのは先にお話したとおりですが,がんのところで

ただし一部のものは要注意

としたのは,ちゃんと理由があります。

多くの疾病をカバーする団信にたまにあるのですが,さりげなーくがんや心筋梗塞,脳卒中の条件が厳しくなっている商品があるのです。

  • 全ての疾病について就業不能状態が1年続いたら残債0です 
    →全疾病保障してくれるのはいいけど,がんまで就業不能1年以上が必要
  • がんは確定診断で,その他の病気は就業不能1年以上で残債が0になります
    →心筋梗塞・脳卒中も就業不能状態が条件に

といった具合によ~く読むと気がつきますが,がん・心筋梗塞・脳卒中の要件が厳しくなっています。

がんだけを保障するがん団信に入っていれば確定診断だけで残債が0になったのに,保障範囲の広さに魅力を感じて多くの疾病をカバーする団信に入ったら,がんになっただけでは残債が0にならない,という事態になってしまいます。

この手の団信は,保障範囲が広いのに上乗せ金利は安いもしくは必要ない,というキャッチコピーで売り出していることがあり,金利負担なしと広い保障範囲に魅力を感じて加入したら実は・・・ということがあるので,自分が保障したい範囲がどのような条件で利用可能となるのかはしっかりと吟味が必要になってきます。

だい
金利負担がないのは,それだけ保険が使われる可能性が低いからですね。

「金利負担はなく保障範囲は広いけど,使う可能性が低い保険」か「追加金利はあるし保障範囲は広くないけど,要件は比較的緩い保険」か,これもまた非常に悩ましい選択肢です。。。

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我が家の団体信用生命保険は上乗せなし

結論から言うと上乗せは何もしていません

加入済みの生命保険で対応できると考えたため追加の金利を払ってまで上乗せをする必要はないと判断しました。

マイホーム建築を決めた際に私は以下の保険に入っていました。

・収入保障保険
 60歳まで死亡・高度障害・障害・介護状態で月15万円
・がん保険①
 終身,確定診断で初回診断金200万円+2年に1度100万円
・がん保険②
 5年定期,がん診療の実費保障

死亡・高度障害状態になった場合は団信により住宅ローンがチャラになります。

高度障害に至らない障害状態や介護状態になった場合も収入が途絶する場合があります。

この場合は通常の団信では保障されませんが,収入保障保険でカバーができています。

がんにり患した場合も通常の団信では保障されませんが,治療費は実費保証型の保険で賄えますし,もし減収となっても診断金等で減収分を補填することができます。

以上のようにすでに加入していた保険である程度広範な範囲をカバーできそうだったので,団信に上乗せで特約を付けることはしませんでした。

まとめ

ここまで上乗せ団信の適用条件などを細かく見てきました。

「思っていたより条件が厳しいな」と思った方もいらっしゃったのではないでしょうか。

  • 金利
  • 適用範囲と条件

を総合的に考えて,納得して加入の可否を検討していただくと良いと思います。

通常の団信(死亡・高度障害時に保障)で必要十分と考える方は,利用条件が厳しくてもあまり問題ないと思うので,無料で上乗せつけられるならラッキー!程度の考え方でいいと思います。

一方で,団信に十分な保障範囲を求めて上乗せを検討される方は,金利だけでなく自分が検討している商品がどのような状態になったときに利用できるものなのか,ということは十分に確認をするべきと思います。

また,がんやその他の病気で就業不能になった場合の保障は,「団信でローン残債を0にする」以外にも私のようにがん保険等の保険によって治療代やローンの支払を賄うという考え方もあります。

ローンの金利やがん保険等の保険料次第では,がん保険等の方が経済的かつ保障金額が柔軟に設定できるという場合もありますので,団信だけではなく生命保険等の活用も視野に入れて検討してみるとよいかもしれません。

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