2021.6.14 新着記事「【正しい家計管理やってみた④】1年の予算を組もう!わが家の2021年度予算編成作業を公開!」を掲載しました

【影響額100万円以上!?】住宅ローン減税の見直しの影響を計算してみた

巷では住宅ローン控除について床面積の要件が緩和される(50㎡→40㎡)だとか控除期間を13年とする特例を延長する(通常は10年間)だとかいい話題が報道されていますが,実はローン控除額が減るかもしれないという話はご存じですか?

住宅ローン控除は住宅購入者の方にとってはかなり大きな金額の控除であり,これが減少する方向に変更されることは非常に影響が大きいと思います。

今回は住宅ローン控除の見直し案により控除額を実際に計算してみてどのくらいの影響が出るのかを見ていきたいと思います。

・これからマイホーム購入を検討する人
・すでに住宅ローンを組んでいる人
・住宅ローンを検討中の人

※今回は12月2日時点の情報を基に記事を執筆しています。現時点で住宅ローン控除の見直しが決定したわけではなく,また見直し案も検討段階のものですのでご理解の上ご覧ください。

追記:住宅ローン控除の見直しについては,令和3年度の税制改正では見送りとなりました。おそらく令和4年度の税制改正で盛り込まれるものと思われます。

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結論:最大で100万円以上控除額が減る可能性

ショッキングな結論ですが一番影響を受ける人は最大で100万円以上控除額が減る可能性があります。

現行制度は「年末の住宅ローン残高の1%」が控除されますが,見直し案では「年末の住宅ローン残高の1%又はその年に支払った利息額のいずれか低い額」が控除額になります。

つまり利息額が低い=住宅ローンの適用金利が低い人ほど受ける影響が大きくなると言えます。

住宅ローン控除見直しの背景

そもそも住宅ローン控除が見直されるに至った背景はどのようなものでしょうか。

今回の見直しの発端となったのは会計検査院からの指摘があったためです。

平成30年度会計検査院決算検査報告において以下のように指摘されています。

(前略)住宅ローン控除特例の控除率である1%を下回る借入金利で住宅ローンを借り入れている者の割合が78.1%となっているなどの状況(中略)が見受けられた。
そのため、今回の本院の検査の結果を踏まえて、関係省庁である国土交通省、経済産業省及び環境省において、税制改正要望の際や政策評価法に基づいて行う政策評価の際の検証の中で、国民の納得できる必要最小限のものとなっているかなどの検証を行うことが望まれる。(後略)
引用元:平成30年度会計検査院決算検査報告 https://www.jbaudit.go.jp/report/new/characteristic30/fy30_kanshin_ch04_p1.html

簡単にいうと

  • 国民の税金を使ってるのに何で支払ってる利息より多い金額を控除してるんじゃしっかり検証せんかい!
  • 昔は今では考えられないような高金利だったから1%控除にしたけど今や1%切ってますからね,これ必要ですか?

ということです。

・変動金利 0.38%
・10年固定 0.52%
・フラット35 1.31%(フラット35S(Aプラン)当初10年間1.06%)

変動金利を例に以下の条件で計算してみましょう。

  • 借入額3000万円
  • 返済期間35年
  • 利率0.38% 5年ごとに0.25%上昇
  • 住宅ローン控除は13年間,所得税・住民税で控除可能額を全額控除できる
当初13年間の利息 住宅ローン控除額 差額
1,837,695円 3,168,657円 1,330,962円
だい
133万円も得をしている計算になります。

税金を使っているのにこの状態っていいの?というのが会計検査院の指摘なわけですね。

住宅ローン控除の改正案:1%上限で実際に支払った額が控除額に

この指摘を受けて現在どのような改正案が検討されているかというと住宅ローン控除を

  • 年末の住宅ローン残高×1%(従来と同じ)
  • その年に実際に支払った利息の額

のいずれか低い額とする,というものです。

改正案では実際に支払った利息額以上の控除を受けられなくなります。

実際に支払った利息額が控除の上限になる,ということは当然ですが利率が低ければ低いほど受けられる控除額が低くなるということです。

したがって今回の改正で一番影響を受けるであろう人は最安の変動金利で住宅ローンを組んでいる(組もうとしている)方です。

※すでにローンを組んでいる人も対象になってしまうのか,これからローンを組む人だけが対象になるのかについては現時点ではまだ詳細な情報がありませんが,今までの傾向を見るとすでにローンを借入している方にまで影響は出る可能性は少ないと考えています。

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影響額の試算:変動金利最安では100万円以上の場合も

では実際に影響額を試算していきたいと思います。

まず現行制度における

  • 変動金利(計算条件は先ほどの例と同条件)
  • フラット35(フラット35S当初10年1.06%,利率以外は変動と同条件)

の計算をしてみます。

  総支払額 利息額 当初13年利息額 ローン控除額 実質返済額
変動金利 34,716,973円 4,716,973円 1,837,695円 3,168,657円 31,548,316円
フラット35 36,697,132円 6,697,132円 3,635,686円 3,225,265円 33,471,867円

変動・フラット35ともに13年間で300万円以上の控除が受けられます。

これが改正案だとどのようになるでしょうか。

改正案では年末ローン残高の1%か実際に支払った利息額のいずれか低い額が控除額になるので,上の表の「当初13年利息額」と「ローン控除額」のいずれか低い額が住宅ローン控除の金額になるということです。

どうでしょう?

フラット35はもともと金利が高めに設定してあり住宅ローン控除額よりも当初13年間で支払う利息額の方が高くなっているので,今まで通り「年末ローン残高×1%」の計算式が適用されます。

だい
つまり控除額は現行と変わりないということですね。

一方で変動は「ローン控除額=3,168,657円」>「当初13年利息額=1,837,695円」ですので現行であれば300万円超の控除を受けられたところ,この案のまま改正されれば180万円ほどしか控除が受けられなくなってしまいます

差額にして130万円オーバーです。

だい
まじかよ。。。

これを再び表に落とし込んでみたいと思います。

  総支払額 利息額 ローン控除額 実質返済額
変動金利 34,716,973円 4,716,973円 1,837,695 32,879,278
フラット35 36,697,132円 6,697,132円 3,225,265円 33,471,867円

注目してもらいたいのは実質返済額です。

現行制度においては変動金利とフラット35の実質返済額の差は約190万円もありました。

しかし改正案での試算では変動金利のローン控除が減った分,変動金利の実質返済額が増加しフラット35との差額は約60万円にまで縮まりました

現在は圧倒的な低金利により支払総額が低くなるため変動金利が人気となっていますが,住宅ローン控除が減少することでフラット35との返済総額の差が縮まり,金利上昇リスクを心配する方で「190万円も違うなら変動にするけど60万円だったらフラットでも・・・」という方が出てくるかもしれません。

また,手元資金を頭金として使用するか,住宅ローン控除を受け切った後に繰上返済するかのどちらが得になるのかといった戦略にも影響を及ぼす可能性が考えられます。

↓頭金のあり/なしシミュレーションはこちらの記事をご覧ください↓

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まとめ

住宅ローン控除の見直し案では住宅ローン控除額が

  • 年末ローン残高の1%
  • その年に支払った利息額

のいずれか低い額とされています。

これにより特に最安の変動金利で住宅ローンを組む人に大きな影響を及ぼしそうだ,という結果になりました。

この案の内容で改正がされるのか,対象はこれからローンを組む人なのかすでにローンを組んでいる人も含まれるのかなどまだ未定の部分が多いですが,今後の情報を注視して(っていうとどこぞの大臣のコロナに対するコメントみたいでいやだな・・・)追加情報をゲットしたら皆さんにお伝えできればと考えています。

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